貧血は大きく分けて再生性貧血と非再生性貧血に分類されます。前者の原因には溶血性貧血と急性出血、分布異常があり、後者の原因は骨髄の赤芽球の減少によるものと赤芽球の成熟障害により成熟過程で壊れてしまう、いわゆる無効造血によるものがあります。無効造血によるものはさらに細胞質の成熟障害によるもの、すなわちヘモグロビン合成障害によるものと核の成熟障害によるものに別けられます。貧血の診断手順としてはまず網赤血球数により再生性か非再生性かに分類します。
網赤血球は多染性赤血球と同じなのでこれにより評価してもさしつかえありません。犬の網赤血球は1種類ですが、猫の網赤血球は2種類(点状型、凝集型)あるいは3種類(点状型、斑状型、凝集型)に分類されます。点状型や斑状型は急性失血後10-20日目にピークとなり、その後4週間循環血液中に存在するため赤血球のその時点での再生の指標としての価値は低く、一方凝集型は急性失血後4-7日でピークとなるため、再生の指標として有効で猫の多染性赤血球はこれに相当します。網赤血球の評価は相対的評価(修正網赤血球%)、絶対的評価(実数)、網赤血球指数(RPI)のいずれかにより行います。再生性貧血は修正網赤血球が1%以上、網赤血球が60,000/μl以上、RPIが2以上のいずれかの所見により診断されます。修正網赤血球(%)=網赤血球(%)×PCV(%)/45%(猫35%)
再生性貧血と診断された場合は溶血、 急性出血、 脾機能亢進が疑われます。 溶血性貧血のうち,免疫介在性, ハインツ小体性, ヘモバルトネラ症, バベシア症などが比較的よく遭遇する疾患です。
溶血性貧血の特徴的な臨床検査所見としては
- 間接ビリルビンの上昇(1mg/d 以上、 総ビリルビンの50%以上)
- ハプトグロビンの減少(血管内溶血)
- LDHの上昇, アイソザイムは1,2の上昇
- 骨髄の赤芽球系細胞の過形成
などが共通の所見として見られます。その他、発熱、黄疸、血色素血(尿)症などもよく認められる所見です。
各種溶血性貧血の鑑別診断は、赤血球の形態学的観察により行います。球状赤血球は免疫介在性溶血性貧血,破砕赤血球は細血管障害性溶血性貧血,有棘赤血球は肝障害時のspur cell anemiaの特徴です。赤血球の内部構造によりバベシアやヘモバルトネラ, ハインツ小体を鑑別します。 直接クームス試験はヘモバルトネラ症やハインツ小体性貧血, バベシア症でも陽性になることがあるので免疫介在性溶血性貧血の特異的検査とはなりません。
再生不良性貧血は多能性造血幹細胞の量的ないし質的欠陥によって骨髄ならびに末梢血中の赤血球系、 顆粒球・単球系、 血小板系の造血3系統の未成熟細胞ならびに成熟細胞が減少した状態をいい、末梢血の汎血球減少症と骨髄の低形成を特徴とする疾患です。続発性のものには薬剤、 放射線、感染、ホルモンによるものなどがあります。特発性再生不良性貧血の発生機序には免疫学的機構が関与していると考えられています。
臨床所見は貧血による運動不耐性、 沈鬱。血小板減少による出血傾向(出血斑)。白血球減少による発熱などが認められます。 末梢血は正球性正色素性非再生性貧血、 好中球減少症、 血小板減少症すなわち汎血球減少症を認める、通常骨髄は著しい低形成を示し、脂肪組織が大部分を占め、3系統の細胞ともに減少しますが特に巨核球はほとんど消失しているのが特徴です。 芽球の増加や異型細胞の浸潤、 形態学的異常は見られません。また、相対的なリンパ球、 プラズマ細胞の増加が認められます。 特発性の治療は免疫抑制療法とサイトカイン療法が中心に行われます。
血液中の赤血球の体積や色の濃さを測定 赤血球指数とも言う 単位 :
MCV:平均赤血球容積 ・・・・ 赤血球の体積
MCH:平均赤血球血色素量 ・・・・ 赤血球に含まれるヘモグロビンの量、色の濃さ
MCHC:平均赤血球血色素濃度 ・・・・ 赤血球の容積に対するヘモグロビンの割合
MCV : MCH : MCHC 基準値(正常値)
MCV : MCH : MCHC 高い値
MCH : 34 以上 葉酸欠乏症貧血、ビタミンB12欠乏症貧血
MCHC : 37 以上 など
MCV : MCH : MCHC 低い値
MCH : 26 以下 鉄欠乏症貧血、慢性疾患に伴う貧血
MCHC : 29 以下 など
- 赤血球数と血色素で 重要度が決まります。数値が異常な場合は 精密検査が必要です。
肝障害、腎性貧血、白血病、感染症、ビタミンB12欠乏貧血 などが疑われます。
網状赤血球数とは?
赤血球は骨髄でつくられますが、血液中に入る前にいくつかの段階を経ます。網状赤血球とは、成熟した赤血球の一段階前の未熟な状態のものをいいます。色素で染めて顕微鏡で観察すると、RNAという物質が網目状に見えるのでこのように呼ばれています。
赤血球の寿命は約120日ですが、網状赤血球は2日以内に成熟した赤血球になります。

網状赤血球数を調べると何がわかるのか?
網状赤血球は、赤血球の骨髄での産生状態を表すので、貧血など、血液をつくるもとが関係している病気を調べるためには欠かせません。また、抗がん剤や放射線療法の副作用で造血機能の低下が起こることもあるので、それを調べる上でも役立ちます。
網状赤血球数はどのように検査するのか?
以前は、採取した血液を一滴だけガラスの上に採り、色素で染色して、顕微鏡で見ながら赤血球1000個中に網状赤血球がいくつあるかを数えていました。
しかし、最近では網状赤血球数を計測できる自動血球計数器で測定することが多いです。
検査当日の朝、絶食する必要はありませんし、そのほかの制限もありません。
基準値
網状赤血球数の測定値は、赤血球数に対する比率(%)で表し、基準値は0.5~1.5%です。
また、骨髄での造血能力を知るためには、網状赤血球数の絶対数も把握する必要があります。
具体的な数字で見てみると、比率が同じ1.0%でも赤血球数が500万/μlの場合では5万/μlですが、250万/μlの貧血状態では2.5万/μlで、造血能力は半分になり、相対比率だけでは正しく把握できないこともあるためです。
網状赤血球の絶対数の基準値は、男性が8000~11万/μl、女性は8000~12.5万/μlで、自動血球計数器では比率と絶対数が同時に測定できるようになっています。
検査結果の判定
網状赤血球数が増加している場合は、骨髄で赤血球がさかんに作られていることを示しています。
例えば、赤血球が破壊(溶血)されて貧血が起こっているときは、それを回復させようと、骨髄で赤血球数の産生が増すとともに、網状赤血球も増加します。ですから、溶血性貧血では網状赤血球数が6~7%と著しく増加します。
赤血球が出血で減った場合も、それを補うために骨髄で赤血球を作るので、網状赤血球が増えることがあります。また、巨赤芽球性貧血や骨髄異形性症候群のように、骨髄で母細胞が壊される病気でも増加を示します。
一方、網状赤血球数が減少している場合は、骨髄での造血機能が低下していることを示しています。最初に疑われる病気は再生不良性貧血ですが、急性白血病や抗がん剤治療の後で骨髄機能が弱っている場合などでも減少することがあります。
異常があったらどうするか?
一般に貧血があってもこの測定値が高いほうが治りやすいとされていますので、数値が低値のほうが注意が必要です。血小板数、白血球数、骨髄穿刺などのさらに詳しい検査を行なって、病気を診断し、専門的な治療を受けましょう。
なお、溶血性貧血や出血では、骨髄の造血能力が抹消血の網状赤血球数に反映されるまでにおよそ1週間かかりますので、この時期に再度検査する必要があります。
異常な場合に疑われる病気
- 高値…溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血など
- 低値…再生不良性貧血、骨髄線維症、急性白血病など


コメント
初めまして。
我が仔16才10カ月のラブが4日前に
発作で倒れ、以前からヘモグロビン減少気味の
値がとうとうヘマトクリット23%の危機に陥ってしまい貧血について知りたくてこちらに伺わせていただきました。
とてもわかりやすくとても参考になりました。
始めまして、もうすぐ17歳ですね!
頑張ってますね、私の個人的なメモとして、記事を寄せ集めただけですが、すこしでもお役に立てたのでしたら幸いです。
どうぞ、お大事になさいませ。